なるほど!ドクターコラム文藝春秋

星秋夫先生

高齢者に増えている「熱中症」

地球温暖化、都市部のヒートアイランド現象による猛暑は、熱中症の危険性をはらんでいます。

2004年 8月号

星 秋夫 先生
日本歯科大学 共同利用研究センター 助教授


猛暑になると急増する熱中症に注意

 夏を迎え、心配になるのが「熱中症」。気温が高かったり、湿度が高くなることによって、体温調節機能がうまく働かずに健康障害を引き起こすものです。

 熱中症は、症状の進行度によって四つに分けられます。

【熱失神】
皮膚血管の拡張により循環不全になり、脳虚血が生じ、顔面蒼白、全身の脱力感、めまい、失神などを起こす。
【熱疲憊】
大量の発汗による脱水症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気など。
【熱痙攣】
大量に汗をかき、水だけ摂取して血液中の塩分濃度が低下した状態で、足・腕・腹部の筋肉の疼痛や痙攣など。
【熱射病】
異常な体温上昇によって中枢神経障害をきたし、頭痛、めまい、嘔吐などの症状から、運動障害、錯乱、昏睡から死亡の危険性が高まる。(熱中症による死亡者は年間約100人)
熱失神からただちに熱射病へ移行することもあり要注意です。

十分な水分補給で脱水症状を防ぐ

 熱中症は気温が30度以上になると発生が急激に増加し、毎年7〜8月に集中していることから、日中の最高気温が30度を越す真夏日や、夜間の気温が25度以下に下がらない熱帯夜の頻度など、温熱環境因子との関連性が高いことが報告されています。

 また、体がに慣れるまでに約2週間かかるため、暑さが本格的になる前の7月上旬に猛暑に襲われると熱中症の発生が増えます。

 熱中症は特に65歳以上の高齢者がかかりやすく、体温の調節機能の加齢による衰えや、水分をあまり補給しないために、脱水症状に陥りやすいことがあります。肥満や糖尿病などの気質的な障害を持っている場合が多く、これからは発汗が多く、脱水症状の傾向が強くなります。

 熱中症を予防するたは、第一にこまめに水分を補給すること。発汗が多い時は水よりも塩分を含むスポーツ飲料の方が効果的です。さらに午前10時から午後2時頃は一日のうちで最も暑い時間帯なので、外出を控えたり、外出の際には防止や日傘などで陽射しを遮る工夫をしましょう。